格好良く使ってほしいから

店舗での営業中、私はあまりスペアの販売を勧めていません。会社からすれば「もっと勧めろ、この穀潰しが!」と思われているかもしれませんがそれでも積極的に勧めません。
理由の一つは、弊社に流れ着いたお客様方は、大半の方が大手業者の経験者で、散髪に行くたびにスペア購入の営業にあい、そのしつこさに辟易とした経験を持つ人が多いのです。それが嫌で逃げてきた人たちに、同じ行為はしたくないからです。安心して理容サービスを受けてもらって、気分よく帰っていただきたいという思いもあります。
そんな私ですが、声をかけることもあります。
それは傍目にも見えてしまいそうな故障個所がある時です。 例えばかつらの周囲の毛が少なくなり、かつらの土台が透けて見えそうになっている状態。そうなった原因はさまざまですが、主にブラシ圧が強い人に起こる傾向があります。
もちろんブラッシングの指導もさせてもらうのですが、長年染みついた癖というのは一朝一夕で改善されることは少なく、土台が透けて見えそうになっているかつらに対してそれまでと同じようなブラッシングなら、2~3か月後には毛量はもっと減少し、土台とネットがむき出しになってしまいます。
そうなることが予見できる以上、やはりプロとして声をかけなければなりません。
かつらを船に例えれば、船底に亀裂が入った状態ですよ、と。 次には穴が開いて水が入ってきますよ、と。 それを伝えても即座に行動に移せる方はごく少数で、問題を先送りにされる方が多いのが現状です。 お金の都合などがあることは重々承知しておりますが、私個人的には良い状態でカッコよく使ってほしいんです。だから早く手を打ってほしいんです。
つまり私が声をかけるというのは、非常にやばい状態です。
上記は通常の買い取りで一台しかお持ちでない方にのみ起こりうる話であり、修理無料でスペアも常時あるサポートクラブでは起こりえません。
京都店 川北